心臓は大動脈の根本から出ている左右の冠動脈(冠状動脈)から血液を供給されています。一般的に右冠動脈は心臓の右半分に、左冠動脈は右前下行枝と左回旋枝の2本に分かれて心臓の左半分に血液を送っています。(図1)
↓以下の写真をクリックすると拡大してご覧いただけます。
▲図1.狭窄がない冠動脈(左:外観像、中:右冠動脈、右:左冠動脈)
これらの冠動脈の一部が狭くなることで血液が流れにくくなり、心臓の筋肉(心筋)が虚血になって胸痛が起こったりすることを狭心症といいます。このような冠動脈の狭窄部の位置および程度などの正確な診断には血管の中に細い管(カテーテル)を入れて施行する冠動脈造影(心臓カテーテル検査)が基準になります。当院では、熟練した医師が心臓カテーテル検査を行っており、比較的低リスクな検査です。肘または手首の動脈からカテーテルを挿入するので侵襲的な検査です。加えて検査のための入院が必要です。
当院では平成19年(2007年)9月に64列CT装置(MDCT)が導入されてから、虚血性心疾患(狭心症など)を見つける画像診断のひとつとして、MDCTを用いた冠動脈の検査をおこなっています。この検査では腕の静脈から造影剤を注入しながら心臓の撮影をおこないます。検査前後に安静が必要ですが、従来のCT検査と同様に外来で受けることができる非侵襲的な検査法です。撮影した画像データをもとに冠動脈を鮮明に画像化でき、見たい方向から狭窄部位を評価できる利点があります。
冠動脈CT検査は一般的にはスクリーニング検査としての位置づけが定着しつつあります。スクリーニングとは “ふるいにかけること”を意味します。
実際に狭窄がある場合は陽性です。実際には狭窄がない場合でも検査中の心拍数が高いとき、撮影中に不整脈が発生したとき、呼吸停止が不良のときなどでは狭窄があるように見える偽陽性を示すことがあります。しかし、この検査が陰性であれば冠動脈には狭窄がないということになります。陽性または偽陽性では心臓カテーテル検査や経過観察が必要になることがあります。(図2)
↓以下の写真をクリックすると拡大してご覧いただけます。
▲図2.狭窄がある冠動脈(左:左冠動脈(左前下行枝)、右:左冠動脈(回旋枝))
検査を担当する診療放射線技師は冠動脈を鮮明に描出するためにMDCT装置の性能をフル活用して検査をおこないます。常に動いている心臓を対象にして撮影をおこなうので、診療放射線技師の技術だけではなく、検査を受けていただく皆さんの協力が必要です。
第一は、脈を遅くするお薬(ベータ遮断薬)を服用していただくことがあります。これは撮影中の心拍数を1分間に60回以下におさえ、不整脈をおきにくくして、冠動脈を鮮明に描出させるためです。
第二は、撮影中に確実に呼吸を止めていただくことです。実際には「息を吸って、止めてください」のかけ声にあわせて10秒程度息を止めていただきます。確実に息を止めるには“息を止めているときはおなかを1ミリも動かさない”ことをイメージしてください。
呼吸停止が不良なときは心臓が動いてしまい冠動脈の描出に影響があらわれてしまいます。普通の写真撮影のときに身体を動かすと像がぶれてしまうのと同じことがおこります。呼吸停止は大変重要です
受診受付
問診・診察
処置室
検査衣に着替えます
心電図の電極をつけます / 点滴をします
血圧・心拍数を測定します / ベータ遮断薬を使います※(心拍数を60回/分以下にします)
※心拍数によってベータ遮断薬を服用しないことがあります
ベッドで安静にします
車椅子で移動します(安静を維持するためです)
CT室
CTのベッドに寝ます
血圧を測定します
胸の撮影をします(位置合わせ用)
ニトロスプレーを使います(冠動脈を拡げます)
呼吸の練習をします(数回繰り返します)
心臓の撮影をします(本番)しっかり息止めをしてください
処置室
ベッドで安静にします
血圧を測定します / 心電図の電極・点滴をはずします
私服に着替えます
※診療科によって受診可能な曜日・時間が異なります。詳しくは
外来診療医師週間表をご覧下さい。
☆土曜日午後・日・祝日は休診です。
☆予約及び急患の方はその限りではありません。
☆ご不明な点は、お電話にてお尋ね下さい。
〒870-0837 大分市太平町4組
tel. 097-544-8800